自転車で遠くの場所に行くのには沢山の手段がある。
自走して目的地へ行ってもいいし、輪行袋に自転車を入れて電車での輪行も大変人気である、車に自転車を載せて現地へ行くのもいい。
さらに遠くに行くにはどうしたらいいか。
そう、飛行機を使って輪行すればいいのである。
昔から私は伊集院光の深夜ラジオが好きで良く聞いているのだが、ある夜の話で(その中でIngressというゲームをやったとか話していたので結構前かと思われる。)伊集院光が北海道の利尻島に行って雲丹御殿という宿に泊まったという話をしていた。そこの島の良さと宿の良さ、雲丹の旨さの話を聴いている内にそのインパクトのある雲丹御殿という響きの宿が忘れられなくなっていた。
完全にこの伊集院光のラジオを聴いてその場所に行きたくなるというパターンは以前行ったしまなみ海道のパターンだ。
伊集院光の話術には脱帽である。
忘れられなくなっていたのはいいが、思いついてすぐに北海道まで行けるでもなく自分の中で寝かせておいていたのだが、ある日たまたま妻との話をしている中で雲丹御殿の話をしたら思いのほか食いつきが良く、旅行の計画を立てるのが得意な妻があれよあれよとセッティングをしてくれ気づけば2ヶ月後には出発!と予定を立ててくれた。
せっかく島に行くのだから自転車も連れて行こうとなったので、急遽飛行機でも対応できる輪行袋の購入をする事に。
今私が使っている輪行袋のはこれ、
で、少しかさばるのだが金具等も使わず簡単に自転車を収納出来るので重宝している。
しかし飛行機で輪行するとなるとこのペラペラの感じの布ではどうやらあまりよろしく無いらしい。
さて、どうするかと飛行機輪行が出来る輪行袋を探しはじめていた所にプロサイクルロードレーサーのペーターサガン選手が輪行袋の使い方を紹介している動画をたまたま発見。
なんだか簡単にしまえそうだし見た目も良い。
調べてみるとプロも使っている物なのでしっかりもしてそうだ。
そうと決まれば早速購入!
数日後には手元に到着!
思ったより大きな梱包である。
開けてみると、
赤いコロが可愛い。
ジッパーを開くと、
こんな感じで、しっかりとした作りである。
動画を見ながらしまっていくとすぐに自転車が良い塩梅にしまえてくる。
動かないようにするベルトなんかも付いていてこれなら飛行機も大丈夫であろう。
こんな事を一人でしていたら後ろから見ていた妻もこれが欲しくなった様子である。
妻は前に飛行機輪行も出来る輪行袋、
を買ったはずなのだが、いつの間にやらSCICONの輪行袋を購入している。
やはりコロの力は強いのか。
そうこうしているうちに出発の日になり、
無事に稚内空港へ到着!
自転車もしっかりと係の人が運んで来てくれる。
一日目は空港から稚内市街にバスで移動し稚内のホテルで一泊の予定である。
ドーミーイン稚内
ホテルでのんびりしてもいいのだが、せっかく自転車もあるので近くのノシャップ岬という所まで行ってみることに。
走っていると普通に鹿が街の中にいるのに驚いた。
ほどなくノシャップ岬に到着。
灯台や小さな水族館があるがそんなに人はいない。
まあこんなものなのであろう。
とくに何を見るわけでもなくそのままホテルへ帰ることに。
自転車はホテルの駐車場管理室という鍵付きの小さな部屋にいれてもらえる事が出来てとても丁寧な対応をしてもらえた。
一日目はそのままホテルの温泉に入ったり近所の居酒屋に行ってみたりして終了。
二日目はホテルの朝食バイキングからなのだが、そのバイキングが凄い。
なんと海鮮丼の具(海老やらネギトロやらサーモンやら)がバイキングに普通にある。しかも旨い。
流石北海道である。
美味しい朝食もそこそこにフェリーの時間が迫って来ているので急いでチェックアウトを済ませ利尻島行きのフェリーに乗り込む。
フェリーに小一時間乗っていると、念願の利尻島に到着である。
宿泊予定の雲丹御殿のご主人にフェリー乗り場まで迎えにきてもらい自転車と一緒に車に乗り込む。
まだ午前中だったので荷物だけ雲丹御殿に預かって貰いそのまま利尻島一周のサイクリングへ。
島はまずまずの起伏があり、車も少なく信号も少ないのでかなり走りやすい。
何より自然の中を走っている感じが凄い。
途中で沼を見たり、
うろうろしつつ一周を完走!
途中から少し風が強くなったりしたが丁度良い距離と道感であった。
疲れたので雲丹御殿の風呂に入ろうとしたらやはり利尻島、風呂には昆布が浮かんでいた。
珍しい昆布風呂に入ったり、美味しい雲丹を堪能したりして、
二日目も終了。
フロントに飾られている伊集院光のサイン色紙を眺めながら、思えば遠い所まで来たものであるとなんとも言えない気分になる。
そして最後の三日目。
朝に雲丹御殿のご主人にフェリー乗り場まで送ってもらい稚内市街へ。
どんどんこのシーコンの輪行袋へ自転車をしまうのが上手くなっていく。
東京へ帰る飛行機の時間までかなりあったので、急遽日本の最北端である宗谷岬に行ってみることに。
信号は無く、真っ直ぐな道。
これぞ北海道なのかという道を走っていく。
途中で昆布を干している人達がいたので写真を撮って良いかと尋ねてみると快諾していただき、少し話をしてまた道を進もうとするとなんと一つ昆布をわけてもらえた
とりあえずバックポケットに昆布をしまい、先に進んでいく。
Googlemap によると宗谷岬に行くまでに宗谷丘陵というちょっとした山があるらしいので一人で行ってみることに。
看板があったので右に曲がると、
まるで別世界である。
走っているとどんどん脳内麻薬が出てきて気持ちが良くてたまらない。
斜度の平均は5%くらいであろうか。
坂も全然苦にならないようなハイテンションになってしまう。
この丘陵を下りるととうとうゴールの宗谷岬である。
とうとうこんな所まで来てしまった。
自転車が無かったらきっとここに来る事は無かったであろう。
そう考えると自転車はそうとう自分の行動範囲を広げてくれている。
そんな事を考えながら空港までの海岸線を走り、東京行きの飛行機に乗り込む。
ほぼ初の北海道旅行で、稚内周辺しか行かなかったのだが、北海道のどこまでも続く道感というのは十分に堪能できた。
飛行機輪行もやってみるとさして難しいものでは無い事がわかったので、また北海道の違った道を走ってみたいものである。